NPO法人日本パーソナルカラー協会 協会情報誌【JPCA NEWS No.6(2022年)】に掲載したコラムをWEB特別版としてブログでも紹介いたします! ※JPCA NEWSは、正会員の皆さまへお送りしている協会情報誌です(正会員についてはこちら)
コロナ渦の影響もあり、ここ数年で打ち合わせや授業・講座など、オンラインでコミュニケーションを取る方法が大きく普及しました。当協会でもオンラインの講座が増え、インターネット環境とパソコンやスマホなどがあればどこにいても参加できるという便利さの反面、「配信者」が実際に肉眼で見ている色と、相手の画面上に表示される色の見え方に、悩まされることがよくあります。
皆さんもネット通販などで購入して届いたものが、思った色と違ったといった経験はありませんか?
今回は【カメラ】と【モニター(画面)】の性能により、色の見え方にどのような違いがでるのかを検証してみました。
配信の仕組み
まずは、カメラの機種によってどのような色に撮影されるのかを検証します。
方法として、同じ物体をパソコン・スマートフォン・一眼レフカメラで撮影し、どのように見えるのかを検証しました。以下の左上の「見本」の写真は、画像を加工して実際に肉眼で見えている色に近づけています。
続いて検証するのは、モニター画面での見え方の違いです。【見本画像】を、パソコンやスマートフォンなど様々なモニター画面で表示するとどのように見えるのかを検証してみました。
比較するための方法として、【見本画像】を表示した各モニターをカメラで撮影し、さらにその撮影した写真を肉眼で見えている色に画像加工して、モニターに表示されている色を再現しています。
カメラの違いとモニターの違いによる見え方を検証してみると、実際に物体を目で見ている色とは見え方が異なることが分かります。黄みや青みの表現が苦手、全体に赤み(または青み)が強い、彩度が高い(または低い)、色がくすんでしまうなど、それぞれのカメラやモニターに特性がありました。
自分の使用しているカメラがどのように映り、モニターではどのように見えるのか特徴を知ることも大切ですね。
では、パーソナルカラーをオンラインで伝えるにはどのようにしたら良いのでしょうか?
一番の理想は、色味の再現性の高いカメラとモニターを使用することです。そして、「配信する側」と「視聴する側」が同じものを使う環境であれば、よりお互いが見ている色は近くなるでしょう。しかしながら、実物と同じ色を再現することは難しく、実際にそのような環境を用意することが難しいのも事実です。
現実的な解決法として考えられるのは、配信する側と視聴する側で共通のツール(色見本帳や配色カード・ドレープなど)を使用することです。それらを使うことで、お互いに同じ色を肉眼で確認することができます。
パーソナルカラー診断(対面)をする場合、似合う色を細かく見分けるためにも、そもそもの色の見え方がとても重要です。部屋の明るさや照明の色も、色の見え方を変化させてしまうので診断する際は適した環境で行います。
検証の画像(検証1/検証2)を見比べると、「実際の色」と「カメラや画面を通した色」が同じ色とは言えないほど、見え方が変わってしまったものもあります。そのため、似合う似合わないを判断することはできず、パーソナルカラー診断をオンラインで行うことは難しいのです。
しかしながら、正しい色(絶対値)は分からなくとも変化は画面上でも伝わりやすいので、色の効果による変化を見せるセミナーなどは可能です。
いかがでしたでしょうか?
今回検証をして、想像以上にカメラやモニターによる見え方の違いがあることに驚きましたし、画面を通して色を伝える難しさを感じました。
しかし工夫次第で可能性も無限大です。オンラインではそれぞれが用意できる環境でどのようなことができるのかを考えて、授業やセミナーを実施することが大切になります。是非みなさんも研究してみてください。